元気が出る褒め言葉<19>
「こういうものを選ばれたなんて、
さすがお目が高い」
人間は、生きた年齢に比例して、
物事を見極める力をつけていきます。
「1を知れば、10を知る」という
ことわざもあるように、経験を積んだ人には、
ずっと先のことまで見えてしまう力が
あるのです。
俗に言う、千里眼です。
超能力者とまではいきませんが、
経験を積んだ人なら誰でもある程度、
自然と分かるようになります。
買い物での失敗なんて、よい例です。
「安いから勢いで買ってしまったら、
安いだけあってすぐ壊れてしまった」なんて
経験があるのは、私だけではないはずです。
小さな経験でも、積み重なれば、
正確に予想する力が備わってきます。
私はよく母と買い物に行きますが、
母の買い物をするときの
千里眼にはいつも驚かされます。
- 「それは柔らかすぎるからおいしくない。
- こっちのほうが長持ちする。
- これはまだ熟していない。
- あと6日くらいで食べられる」
そう言います。
しかし、騒いでいることも、
あながち間違ってはいないのです。
母が説明するうんちくは、
かなり鋭い視点からの分析ができていて、
私はいつも「なるほどな」と
納得させられます。
母は最初から物事を見抜く
力があったわけではなく、
失敗経験から見えなかったことが
見えてくるようになっただけです。
つまり、買い物での経験が多いのです。
ある日、
また一緒に買い物へ出かけたときのことです。
母はある商品を選んだとき、
店員にこう言われていました。
- 「こういうものを選ばれたなんて、お目が高い」
きっと店員のお世辞ではあったと思うのですが、
母は照れていました。
やはり褒められると、母も嬉しいようです。
母の千里眼は、店員さんにも分かったのです。